読み直しサンドマン(準備その1)
昨日の記事にG.K.チェスタトンの短編を貼り付けて思い出しました。
ブログを続けるなら定期的に出せるネタがあった方が良いのではないかと思ったことを。長持ちしそうなものは何かを探してあったことを…。
ニール・ゲイマンの『サンドマン』シリーズ全75話、のまずは最初の8話を収録した『Preludes & Nocturnes』を折角だからちゃんと読み直してみたいと思ったのです。
https://www.amazon.co.jp/Sandman-Vol-Preludes-Nocturnes-New/dp/1401225756
まずはきちんと読まずにすっ飛ばしてしまっていた、当時の編集長カレン・バーガーによる前書きを読むところから始めていこうかと思います。(そこから?!…そこから!)本編ではない為、「ただ今準備中」枠です。
ざっと眺めてみたならば、そもそものプロジェクトの始まりからシリーズの全体像も把握できる手際の良さで流石の名編集者。あのデス姉様の初登場回にして「お馴染みすぎるDCキャラクターが一切登場しない」8話"The Sound of Her Wings"を『サンドマン』が他のタイトルと全く違うものになっていったターニングポイントとして挙げていて、この第1巻にそこまでひと続きお話だった1〜7話に加えて、雰囲気がガラッと変わる単発エピソードである8話も収録されている理由はそういうことか、と納得した次第。
おそらくは『サンドマン』の一番最初の読者であっただろうカレン・バーガーのお気に入りエピソードを教えてもらえるのも嬉しいところです。
マルコ・ポーロが砂漠で未来の知人や「水夫の楽園」ギルバートに出会う39話"Soft Places"、千夜一夜物語に登場するカリフ、ハールーン・アッ=ラシードと夢の王の取引をP・クレイグ・ラッセルが華麗に描き出す50話"Ramadan"、都市そのものが見る夢が語られる51話"A Tale of Two Cities"、死者の都において永遠の存在の為の死装束があることが示される"Cerements"。
ゲイマンの作風を「時代を越えた、共鳴する、普遍的な(timeless, resonant, and universal)」ものと表現し、普段はコミックを読まないような多様な人々を惹きつけたこと、それがほとんどのメインストリームのコミックから見て破格な数の女性の読者の得たことに繋がったとする評価もまた納得です。
大森望氏が、ゲイマンが『パーティで女の子に話しかけるには』でヒューゴー賞ショートストーリー部門の受賞を逃した件で「あなたみたいなモテ男があんな短編を書いてもさあ」みたいなことを本人に言っていたそうですが、実際モテるんだから仕方ない。お陰様で今更Netflixでドラマ化するからって慌てて読み直してみるのもそんなに恥ずかしくないのです。
他人に読んでることを知られても恥ずかしくない作風、大事。趣味なんだからなんでもいいだろって話もあるだろうけど、これは自分で自分を誤魔化しながらたまに心のシャッターを半分くらい下ろして薄目で見ながら「面白いね」とか言う羽目にならなくて済むということで、やってらんねえ付き合ってられるかってムカついてるのを我慢しながら読まなくても済むということであり、要するに安心して読めるってことなわけです。
この先、長く付き合うのに、ずっと伴走してきていた編集者の人が「多様な読者をいること」を大きな成果だと胸を張ってくれないような作品ではキツい。
でもこれは大丈夫だからどんどんいっちゃって、と言えるものであってくれるというのは誠にありがたいことで、30周年記念版なんてのが出版される時期になってもあちこちのメディアで初心者向けに「いいから読んでみなって」的な記事が出て来ているのはそれがただの気のせいとか嘘とか騙されてるからではない証だと思います。古典って言っていいと思う。きっと大丈夫。
しかしWikipediaのサンドマンのページ、充実しすぎなのではないでしょうか。念のために覗いてみたら英語はともかく、日本語でも本編全エピソードネタバレしてるんですが… これではお話のあらすじだけ書いてお茶を濁すとかできないじゃないですか…(そんなん書こうと思ってたんかいな)
…あ、そういえば何故、G.K.チェスタトンの短編で『サンドマン』を思い出したのか書いてなかったですね。この理由は第2巻で分かります。結構先です引っ張ります。だがとにかくそこまではなんとか辿り着く、そんな調子で行ってみます。
…品切・重版未定…(ゲイマンのモテ話は他にもいくらでもあるから…)