Netflix版『サンドマン』キャスト発表とシン・ウルトラマン予告とレヴィ・ストロース
ご無沙汰しております。
前回更新時に一気買いをしていた『解体屋ゲンさん』1〜50巻分はまだ読み終わっていません。それぞれのエピソードは手軽にさくさく読めるのですが、なにしろエピソード数自体が多い為、力尽きるまで読み進めすぎて疲れ果て燃え尽きてしまう問題が発生したりしていたのでした。懲りたので最近は抑えめにぽちぽちと5〜6話ずつくらいつまみ読みするスタイルに変更。作者の側の手間を思えば、そんな簡単に読み切ってしまうのも申し訳ない…んですが、さくさく読めてしまう恐ろしさ。
そんな爆破解体業者さん漫画(ただし、今読んでいる辺りはリーマンショックからの不景気のあおりをくって爆破解体現場自体が少ない時期である模様)でいっぱいいっぱいになっている間に、とうとうやってきました、Netflixのドラマ版サンドマン情報!
キャスト発表でございます。
There. A whole set of tweets written just before bed and set to go out when I'm fast asleep. I'm vaguely worried that I've mistimed them, but too late now. Here are the first seven members of the #Sandman cast to be announced officially. Seven down, hundreds to go. pic.twitter.com/DksGLyMkBf
— Neil Gaiman (@neilhimself) 2021年1月28日
今回はシリーズ1、11話予定とのことですが、同時にシリーズ続行が発表されたオーディオ版のように続くことになれば、本当に長いお付き合いになる…なってくれると良い7名の皆様でございます。今後ともよろしく…。
ドリーム/サンドマン役のトム・スターリッジが原作のイメージに近い骨っぽい雰囲気のビジュアルでとりあえず安心しています。『メアリーの総て』のバイロン役が目の下にクマのある陰鬱な雰囲気で大分なインパクトの開演だったという噂。確かに怪物っぽくて良いんじゃないでしょうか。それこそ夢に出てきそうなヤバい感じ期待しております。悪夢の王とも名乗るドリーム、配下である夢の中にも凶悪なタイプもいたりして、なかなかおどろおどろしいところありますので。その一方で意外と繊細なところもあって、まだキャストが明らかになっていない姉のデスとのやりとりも今から超期待です。
当初予定では原作コミックの方の読み直しの感想もこのブログで書いていく筈だったのです、実は。しかしこの新型コロナウィルスと非常事態宣言とリモートワークができる環境の家族により設置された機材の向こう側にシリーズの何冊かが埋もれたまま取り出すことができず茫然とする羽目に陥っているのでした。いっそKindleで買ってしまった方が良いのでは…。しかし一冊でも今、刊行されている30周年版の装丁で買ってしまったら、全冊揃えたくなってしまいそうで恐ろしい。手持ちの紙の単行本は買った時期も場所もバラバラで装丁が揃っておらず、本棚に並べても統一感が無く、割と困ってはいるのでその一歩は踏み出したくはない。正直綺麗に並べたいこの気持ちが走り出してしまう。というか、どの時期の装丁か選ばせて欲しい。以前のカバーアートの方が好きなこともあるのに、ダウングレードを許してもらえないなんて辛い。というか、
Dust Covers: The Collected Sandman Covers (The Sandman) (English Edition)
- アーティスト:McKean, Dave
- 作者:Gaiman, Neil
- 発売日: 2014/11/25
- メディア: Kindle版
…Amazonで検索して出てきたカバーアート集のDUST COVERSも、手持ちのやつとなんか違う見た目なんですが…本当にほいほい装丁が変わるのでびっくりします。なんとかして欲しい。(どうにもならない)
こちらが以前購入したDUST COVERS。映画のビジュアルにDave Mckeanっぽさはどのくらい反映されているのかふんわりと期待しつつ。
そんな風にドタバタしていたら、即、シン・ウルトラマンの予告が来たわけです。
【映画『#シン・ウルトラマン』特別ビジュアル解禁】
— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) 2021年1月28日
―そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。―
謎めいたアイテムと意味深な言葉。
そして、#斎藤工 #長澤まさみ #有岡大貴 #早見あかり #西島秀俊 の視線の先にあるものとは一体…#シンウルトラマン #ウルトラマン#庵野秀明 #樋口真嗣 pic.twitter.com/dWtXJXDu38
レヴィ=ストロースの関連の本を去年の年末にそこそこ買い漁ったところなので『野生の思考』に気が付いてずっこけました。TSUBURAYA GALAXYで中沢新一氏が野生の思考とか贈与とかの用語を使った連載をしていて「何故?」とは思ったけど、これの前フリだったんでしょうか?シン・ゴジラでの宮沢賢治の『春と修羅』は詩なので、あくまでイメージの流用な印象でしたが、レヴィ=ストロースはそれこそ思考の人なので、ある程度具体的な考え方の道筋などを拾ってもらえると自分などはグッと来るわけですが…。そんなところは放っておいて、ブルトンを投入して大混乱させて結局あれはなんだったんだ、みたいな展開もそれはそれでアリだと思います。ブルトン、バタイユ、レヴィ=ストロース。
解体屋ゲンさんの為にiPad Airを購入したこと
あけましておめでとうございます。
2021年元日、去年の年末に入手していたiPad Air(2020の開封の儀をようやく行うことができました。設定等それなりに時間がかかりそうなので、時間があるお正月にドン!というわけなのでした。細かい設定は近くにiPhoneを置いておけば済むようになっているとはいえ、実際のところはやはりあれこれてこずったりもしたので、これはお正月にして正解だったと思います。
自分用としては初のiPad、重さ大きさ色々考えましたが、今もこの記事を書く用に使っているMacBook Proと比べて軽い!片手で支えられる!MacBook Proはノートブックなのに持ち歩くと重すぎて心が折れかけたりしていましたが、iPad Airはホイホイ外に持って出られそうな気がします。
そしてそう、この大きさ、電子書籍を読むのに助かるこの画面の大きさです。今回、若干大袈裟な今回のタイトルですが、なんたって50巻までまとめ買いしても2000円を超えない大分派手なセールを開催中だったのです。価格までぶっ壊れてます。大人買いです。一気読みです。
解体屋ゲン電書バト の新春カイダンセール開始!!巻数によって価格変動する1巻0円!2巻2円!!3巻3円!!!よろしくお願いします。#Kindle #解体屋ゲン #階段セール pic.twitter.com/fPtSEUkcAq
— 石井さだよし (@isshy22) 2020年12月23日
まとめてドシドシ買っちゃって下さい!https://t.co/GHAIEiJcGk https://t.co/DjjLtYVbZN
— 五友爆破株式会社(解体屋ゲン) (@KowashiyaGEN) 2020年12月23日
現在、最新刊は76巻なので、約2/3をこのお値段で読めてしまう。Kindle Unlimitedは再現なく読みたい本が湧いて出て来るのが目に見えていて怖いので手を出したくないところに買い切りでこれはいくしかない!
…まあ、結果としてこれでタガが外れてしまし、他にも電子書籍を買い込んでしまったので、お得だったのかなんなのか自分でもよく分かりません。でも良いんだ、安心して楽しめる完成度の漫画とか、探すだけで大変だから(量が多すぎるので)気の合う感じのものを見つけた時には忘れないうちに捕まえておくことが大事なのです。やった!
登場人物の魅力や扱われているテーマの多彩さ等々面白ポイントは沢山あるゲンさんですが、特撮ドラマ好き(昨年末のNHKの『岸辺露伴は動かない』全3話良かったですね。家族で漫画描く前体操やってしまいました。)としては、やはりまず7巻の68話&69話の前後編に登場する「着流し戦隊江戸レンジャー」ですねー!戦隊モノかつ全員でバイクスタントが入るという何かと何かを足して引かない贅沢な特撮ドラマでございます。だけどあの爆発、本当にやっちゃって大丈夫なやつなんでしょうか。裏の事情のことはよく分からない…。でもきっとあのロケ地は岩舟山…。いや、良くは知らないんですただデイリーポータルZで爆破ウエディングな記事を読んでいたので…見覚えのあるあの感じだったので…。
良いですよね、爆発。
火あぶりにされたサンタクロース再び
クリスマスイブ当日です。Twitterのタイムラインもやはりサンタクロース(もしくはFather Cristmas)情報で賑やかになってくるもので、今年もやってくれましたNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)のサンタ追跡サイト!お疲れ様です!
そして一方、先週書いた神話学者さんのツイートを引っ張ってきて書いたブログに使ったクロード・レヴィ=ストロースの『火あぶりにされたサンタクロース』を使った記事も出てきていた模様。
とはいえ、ここではサンタクロースが火あぶりにされたことの意味(サトゥルヌス祭の意図しない再現になっていたこと)は特に深堀りはされておらず、キリスト教右派の行動がとか、神話の構造がどうとかよりも歴史(「サンタの衣装の色が決まったのは、コカ・コーラ社のためではないこと」とか)の方が大事っぽいのでオチがどうなるかと思ったら
サンタ火あぶり事件を私は毎年講義で引き合いに出すが、いつもそれに合わせて私が学生に主張するのは、誰かにとって特別な信仰の日を尊重するときは、別の誰かにとっての受け止め方も尊重すべきだということだ。
レヴィ=ストロースは「どうしてそれが大事なのかはよく分からないけど大事なんだな」で終わらせることをしない、どちらかというと別の誰かと自らの間にある共通のものを探し出そうとする人なのでこのまとめ方は、なんだか収まりが悪いように思います。「学問は心を自由にする」、レヴィ=ストロースの、一般的なものの見方に思いっきりどんでん返しかましているやり方を見ると確かにそうだと思います。
レヴィ=ストロースの『火あぶりにされたサンタクロース』での語り口は以下のような調子となっております。
このようにざっと概観するだけで、過去の《遺物》や《残存物》と呼んで済ませる安直な説明が、この手の問題についてはどれだけ当てにならないかがわかる。多彩な民族的な慣習の中で連綿と続く樹木崇拝が先史時代になければ、近代ヨーロッパがクリスマスツリーを《発明する》こともなかっただろう。
…いや、あっさり先史時代まで遡ってしまうようなやり方では歴史の話にならないので、ここは敢えて触れないのが正解だったのかもしれませんね。
ブックサンタ完了!
さて、12月14日にあれこれ迷っていたブックサンタ、本日参加させていただきました!
しかし書店に入る前の気持ちの滅入ること滅入ること、どうにも「何か変なものを選んでしまったらどうしよう」とか「これで何か大したことをした気になるつもりか」のような思いがよぎる自意識過剰な状態になっていたのですが、一度、児童書売り場に入ってみればあっさり憂鬱な気分は吹き飛び、ただただ棚の様子や見本を見て触っては「うおお、すごい面白いあれもこれも」スイッチが入ってノリノリです。
そんな調子で目に飛び込んできた絵本が『このほんよんでくれ!』
作中でおおかみが言っているのとは違う意味ですが、丁度この本読んでくれ、な気分でいるところにバッチリハマる文字列。帯で又吉さんがお勧めしている。今はとにかくこの勢いと躊躇いの無さが良い。
そして当初からまずはこれ、と決めていた『ねないこだれだ』。ど鉄板です。細かい説明などいらない。間違いない。
そしてあともう一冊、少し気になっていた『このかみなあに?』は山ほどある絵本の中からパッとは見つけ出せず、別の本を選びました。初めて手に取る本でしたが、絵も文章も最高です。
ページをめくる度に現れる驚きの展開、前後の絵に繋がりを持たせながら、ある時はシンプルなズームイン、ある時は別の場所への移動、ある時は時間軸を遡ったり、と時空を自由自在に動きながら始めと終わりにくるっと捻りを加えて綺麗に繋がっていく構成、確かに平仮名の「の」の筆運びのような本です。読んでいる時の感覚はGorogoaがアナログの絵本ならこうだっただろう、と思えるもの。びっくりしました。
以上の三冊を持ってレジで「ブックサンタに参加で」と言って会計をして終了となりました。今回選んだものは絵本のみ。図鑑も気になってはいたものの、中身を見て選ぶには余裕がなかったので。次回の課題としておきます。来年もやるぞ!
グレートコンジャンクション2020
一昨日の2020年12月17日、Twitterに月と2つの星の画像が次々に投稿され、自分のアカウントでは日本各地からの華麗な夜空が満載なキラキラしたタイムラインになっておりました。14日にはふたご座流星群の極大もあったため、ほぼ連日のキラキラです。まずはそのふたご座流星群の印象に残った画像のツイート達。
ふたご座流星群の流れ星のおすそ分け☆彡
— KenKen (@KenKenPhoto) 2020年12月13日
富士山横のでっかいやつ、ご利益ありそう🙏
みなさんの願いが叶いますように✨
(昨晩撮影) pic.twitter.com/VlsecLU6mj
昨晩は雲が多かったですが、ふたご座流星群が活発でした。2020年12月13日夕方から14日未明にかけて流れた流星を、富士から北西・北東・南・北の高い空に向けた広角カメラで見た様子です。赤い光は、宇宙に向かって放たれるスプライトやエルブスで、ときどき空を赤く染めていました。 pic.twitter.com/0A9t12INXA
— 藤井大地 (@dfuji1) 2020年12月14日
ふたご座流星群 2020。桜島上空の一閃。 pic.twitter.com/o0SHrJfF6R
— yasu.autumn914 (@butumn9141) 2020年12月17日
天体ショーはなにしろスケールが大きいため、映り込む背景も広がりを感じられるものが多く、普段スマホの画面ばかり見ている身としては見ているものの大きさのギャップに目眩がする程。今、住んでいるところはあまり星空がはっきり見えたりもしないので、そういう場所にも随分行っていないな、と遠い目になったりもします。
そして、写真と言えばのナショナルジオグラフィックも大注目なグレート・コンジャンクション。
土星と木星という明るく動きのはっきりした天体での現象なので、こちらは肉眼でも見やすいものになっている様子。17日には月も近くに見える為、三者(と印象的になりそうな背景)をひとつのフレーム収めるために工夫を凝らして狙い澄ましたショットがドッカンドッカン投下されることに…。
松本城の上空で初月・木星・土星が大接近🌘✨️
— みや (@HopsosMiy) 2020年12月17日
よく見ると、土星は楕円に写り、木星の周りには衛星も確認できて、宇宙を感じた冬の夕べ🤔 pic.twitter.com/T7KSYpbF6r
17日夕刻から夜のはじめ頃にかけて、地球照を抱いた月齢2.4の三日月と木星・土星が共演し、南西の空を賑やかに彩りました。
— Toshi@チーム房総 (@Naistar_photo) 2020年12月17日
木星と土星の両者は明日以降も接近を続け、22日午前3時、約400年ぶりに月の直径の約4分の1の距離にまで接近します。#木星と土星 #木星土星超大接近観測プロジェクト pic.twitter.com/R5tLcS25xC
木星、土星に接近した三日月が富士山に沈みます。#パール富士#木星#土星 pic.twitter.com/mQWXZhB45L
— 逍遥麿 T.Yoshikawa (@syouyoumaro12) 2020年12月17日
宵空に太陽系を望む。
— KAGAYA (@KAGAYA_11949) 2020年12月18日
地球の衛星(月)と土星、木星。
拡大すると土星の衛星タイタンや木星の衛星たちも写っています。
(昨日、望遠レンズを使って撮影)
今週もお疲れさまでした。 pic.twitter.com/IWE4MT1H2i
これだけでも圧倒される光景ですが、KAGAYAさんのツイートにもあるように、土星と木星の最接近の本番はまだこの後にやって来ます。その近さのレアさ、一生もの。
今月のお勧め天文現象には、一生に一度級のものがあります。
— KAGAYA (@KAGAYA_11949) 2020年12月18日
昨日の三日月、木星、土星の光景もそうですが、
これから数日間、木星と土星がこれほど近づいてすれ違う様を見られるのはわたしも初めてのことです。
双眼鏡や望遠鏡をお持ちの方は準備しておきましょう。 https://t.co/XoSYdv4Yxi
そしてその日付も色々と意味が重なってくるが故に、占星術な方面のざわついている様子。今回は特に200年単位の大イベントの話になる為、こちらは時間的な意味で普段見ているものとの大きさのギャップに目眩がしてきます。(天文学の数字の桁からするとこれも小さい話なのだろうとは思いつつ)
今回のグレコンはたまたま冬至と重なりますが「クリスマス」の起源が冬至祭であるという説が有力で、また、あのベツレヘムの星が木星と土星のグレコンだったという説があることと重ね合わせると、なんだかエモいのです。
— 鏡リュウジ (@Kagami_Ryuji) 2020年12月17日
とはいえ、そんなツイート群を眺めながら自分が思っていたのはそれに近いような遠いような宇宙の光の国からやってきた特撮ヒーローの事なのでありました。12月19日土曜日が『ウルトラマンZ』の最終回だったせいで、その前日は気もそぞろでブログどころではなかったのですなんてこった!いきなりの急カーブだけど、ここまでの話題と全く関係が無いわけでは無いのですほんとに。どういうことか分かってもらいにくい事柄であることは分かってる。訳わかんないと思う。ただ、このグレートコンジャンクションの時期にたまたま『ウルトラマンZ』の最終回が放送されたりYouTubeで配信されたりするのは、冬至と被るのと同じくらいにエモいことだなあと思ったりする人間もいるのです。どうしてそんな話になるのか?先ほどの鏡リュウジ氏のスレッドの最後のツイートを見てみましょう。
大きな意味での「行く年来る年」。古き年と新しき年の二つの顔をもつJanusのイメージとも僕には重なって見えます。ヤヌス、ジャニュアリー(1月)の語源です。そう、Great January
— 鏡リュウジ (@Kagami_Ryuji) 2020年12月17日
ウルトラマンZには男女2人で変身する(していた)ウルトラマンが登場します。第19話「最後の勇者」でZの救援に駆けつけるそのヒーローの名はウルトラマンA。その願いを「戦いを終わらせる者」の意味で名付けたZに託すその関係性は分かりやすく始まりと終わりのA to Z、それはまたAとZが倒した相手の力がウルトラマンZの最終決戦の火蓋を切ることにもなる、終わりの始まりでもありました。
昭和の雰囲気を色濃く漂わせる古参のウルトラマンAと、令和の新人ウルトラマンZの組み合わせ、更に『ウルトラマンZ』にはAの変身者の1人、「月」星人である南夕子の不在を埋めるように(?)月の要素を背負ったキャラクターが登場していることも含めて、このグレコン(そんなカジュアルな四文字略語、アリなのか…と初めて目にした時は驚いた)の時期に、この12月の夜空の様相にも似た因縁満載な宇宙人のお話が一旦は終わるというのは、それこそ脚本家の人そこまで考えてない展開だと思うのですが、それはそれとしてうまいこと収まるかもしれない、と思って身構えていたのです。
結果ちゃんと収まりました。お話としては勿論、勝手に身構えていた部分に関してもきっちり締めてもらえた…というか自分にはそう見えた終わり方。吹原さんすごい。土/地の時代から風の時代に切り替わっていく変化の時に相応しい終わり方だと思ったのです。いや、ミューテーションのことまで何がどうなるかはっきり理解しているとは言えないけど、とにかく新鮮さと風通しの良さ、それぞれのコミュニケーションの成立の仕方など、綺麗に決まっていく気持ちの良い最終回でした。YouTubeで2週間配信されるし、配信もあるので今のうちに是非。
そして今期は特撮でも仮面ライダーの方の楽曲を担当されている東京スカパラダイスオーケストラの「風」が印象的な曲を。
「電波を通じてラジオで繋がるときと同じように『空で繋がる』こと」グッと来ます。
読み直しサンドマン(準備その1)
昨日の記事にG.K.チェスタトンの短編を貼り付けて思い出しました。
ブログを続けるなら定期的に出せるネタがあった方が良いのではないかと思ったことを。長持ちしそうなものは何かを探してあったことを…。
ニール・ゲイマンの『サンドマン』シリーズ全75話、のまずは最初の8話を収録した『Preludes & Nocturnes』を折角だからちゃんと読み直してみたいと思ったのです。
https://www.amazon.co.jp/Sandman-Vol-Preludes-Nocturnes-New/dp/1401225756
まずはきちんと読まずにすっ飛ばしてしまっていた、当時の編集長カレン・バーガーによる前書きを読むところから始めていこうかと思います。(そこから?!…そこから!)本編ではない為、「ただ今準備中」枠です。
ざっと眺めてみたならば、そもそものプロジェクトの始まりからシリーズの全体像も把握できる手際の良さで流石の名編集者。あのデス姉様の初登場回にして「お馴染みすぎるDCキャラクターが一切登場しない」8話"The Sound of Her Wings"を『サンドマン』が他のタイトルと全く違うものになっていったターニングポイントとして挙げていて、この第1巻にそこまでひと続きお話だった1〜7話に加えて、雰囲気がガラッと変わる単発エピソードである8話も収録されている理由はそういうことか、と納得した次第。
おそらくは『サンドマン』の一番最初の読者であっただろうカレン・バーガーのお気に入りエピソードを教えてもらえるのも嬉しいところです。
マルコ・ポーロが砂漠で未来の知人や「水夫の楽園」ギルバートに出会う39話"Soft Places"、千夜一夜物語に登場するカリフ、ハールーン・アッ=ラシードと夢の王の取引をP・クレイグ・ラッセルが華麗に描き出す50話"Ramadan"、都市そのものが見る夢が語られる51話"A Tale of Two Cities"、死者の都において永遠の存在の為の死装束があることが示される"Cerements"。
ゲイマンの作風を「時代を越えた、共鳴する、普遍的な(timeless, resonant, and universal)」ものと表現し、普段はコミックを読まないような多様な人々を惹きつけたこと、それがほとんどのメインストリームのコミックから見て破格な数の女性の読者の得たことに繋がったとする評価もまた納得です。
大森望氏が、ゲイマンが『パーティで女の子に話しかけるには』でヒューゴー賞ショートストーリー部門の受賞を逃した件で「あなたみたいなモテ男があんな短編を書いてもさあ」みたいなことを本人に言っていたそうですが、実際モテるんだから仕方ない。お陰様で今更Netflixでドラマ化するからって慌てて読み直してみるのもそんなに恥ずかしくないのです。
他人に読んでることを知られても恥ずかしくない作風、大事。趣味なんだからなんでもいいだろって話もあるだろうけど、これは自分で自分を誤魔化しながらたまに心のシャッターを半分くらい下ろして薄目で見ながら「面白いね」とか言う羽目にならなくて済むということで、やってらんねえ付き合ってられるかってムカついてるのを我慢しながら読まなくても済むということであり、要するに安心して読めるってことなわけです。
この先、長く付き合うのに、ずっと伴走してきていた編集者の人が「多様な読者をいること」を大きな成果だと胸を張ってくれないような作品ではキツい。
でもこれは大丈夫だからどんどんいっちゃって、と言えるものであってくれるというのは誠にありがたいことで、30周年記念版なんてのが出版される時期になってもあちこちのメディアで初心者向けに「いいから読んでみなって」的な記事が出て来ているのはそれがただの気のせいとか嘘とか騙されてるからではない証だと思います。古典って言っていいと思う。きっと大丈夫。
しかしWikipediaのサンドマンのページ、充実しすぎなのではないでしょうか。念のために覗いてみたら英語はともかく、日本語でも本編全エピソードネタバレしてるんですが… これではお話のあらすじだけ書いてお茶を濁すとかできないじゃないですか…(そんなん書こうと思ってたんかいな)
…あ、そういえば何故、G.K.チェスタトンの短編で『サンドマン』を思い出したのか書いてなかったですね。この理由は第2巻で分かります。結構先です引っ張ります。だがとにかくそこまではなんとか辿り着く、そんな調子で行ってみます。
…品切・重版未定…(ゲイマンのモテ話は他にもいくらでもあるから…)
サンタもいろいろ
最初の記事でも書いたブックサンタ用の本を今もまだ考えている最中の為、クリスマスやサンタの文字列が見えると気になる今日この頃、神話学者さんのツイートがバズっているのが目に入りまして。
クリスマスは、もとをたどるとヨーロッパの冬至のお祭り。太陽が最も力を弱め、そして再生する太陽のお祭り!FGO、太陽の子カルナがサンタですって??なんと神話にふさわしいことでしょう!!
— 沖田瑞穂@『インド神話』岩波少年文庫10月15日発売! (@amrtamanthana) 2020年12月15日
なんだか無防備だな?!はしゃいでますか大丈夫ですかと思っていたら、後からちょっと濃いめなツイートも追加になりました。
なぜカルナがサンタクロースだとまずいの?そもそもサンタクロースとは。サンタクロース像を異教のものとして火刑にしたディジョンの例をレヴィ=ストロースが論じていますね。
— 沖田瑞穂@『インド神話』岩波少年文庫10月15日発売! (@amrtamanthana) 2020年12月15日
FGOの場合、世界観や設定自体が神話のキャラクターも実在の人物も何でもかんでもぶち込んだ闇鍋ごった煮状態らしいのは見てとれる(未プレイ故「お噂はかねがね…」の立場からの見方)ので、カルナサンタがアウトならもう全部アウトになってしまいそうな気がするのだろうなとは思いつつ、何も知らない人にはそんな設定自体も不敬ってことになりそうな気もしつつ、レヴィ=ストロースの火刑にされたサンタクロース論はこれですね。
内容についてはレヴィ=ストロースの『野生の思考』が「100分de名著」で取り上げられた際の要約をNHKテキストビューで読むことができるので、概要を把握するのはそんなに難しくはないかと思われます。
「この死者の霊をあらわした異形の存在たちに、さまざまな贈り物(お供物)をあたえてご機嫌を取り、お引き取りいただくことによって、ふたたび世界のバランスを回復しようとする祭をおこないました。」にあるような「異形の存在」としてのサンタクロースのイメージは節分の鬼が出てくるのもごく自然な流れになるわけですが、ここはピンと来ている人はあまりいなさそうな気配。
冬至の日は時の境目。時の境目にはこの世とあの世がつながり、異界のものが現われる。サンタクロースもそのような異界のものかもしれません。
— 沖田瑞穂@『インド神話』岩波少年文庫10月15日発売! (@amrtamanthana) 2020年12月15日
この辺り、日本で言うなら、時期的にも節分の鬼よりはナマハゲの方が近いかなと思っています。今はなんとぴったり大晦日に登場してくるキリの良さ。他にも日本で12月恒例の「死者に扮した仮面の神々」的な人達が町中を練り歩く的なものと言えば『忠臣蔵』も外せないのではないかなと。紅白歌合戦に三波春夫の『長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃』とか、最高じゃありませんか。
とはいえ、今も一般的なサンタクロースのイメージであろう、ディジョンで焼かれた「アメリカ風の「サンタクロース」」と異界の異形の存在をパチっと繋げて考えるのは、更にそれをFGOのカルナから連想するのは色々と難しいところがありそうです。太陽神の子カルナと神の子キリストのイメージを繋げる方がずっと簡単な気がするような…。
でもこの際なのであくまで死者が町中をうろつくクリスマスのイメージを強く前に出した今も人気な作品をふたつ。
まずは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。(ディズニープラスで配信中)『火あぶりにされたサンタクロース』を読んだ後だと、ハロウィンとクリスマスがごちゃまぜになったあの様子が実は古風なクリスマスでサンタクロースなのかもしれません。
もう一つはど鉄板、ディケンズの『クリスマス・キャロル』。真面目に映像化したものは山ほどあるので、ここは少し捻った怪談調の『ドクター・フー』シリーズ1第3話「にぎやかな死体」を。(今はプライム特典無しのレンタル)
後はおまけにディケンズとクリスマス繋がりでもう一作。英文で申し訳ない。死にかけのファーザー・クリスマスを前に一発かますディケンズがかっこいいやつです。